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F430チャレンジに乗せてもらった

「一回、君にF430チャレンジに乗ってみてもらいたいんだよね」
という社交辞令なのか、マジなのかわからない感じでお誘いをいただき
遠慮というものを知らない僕は「マジですか!?やったー!!」と二つ返事をして
予定がポンポンときまり、先日乗せてもらうことができました。




僕がまともに運転したことあるフェラーリは458イタリアぐらいでして、
e-diffが優秀で、少しおしりをフリフリしながらも前に前に進んでいき、運転がうまくなった気にさせる電子制御に感激した記憶がある程度です。
ただ、調子こくと絶対痛い目に合うのがフェラーリがフェラーリたる所以だと思っておりまして
当日までYouTubeでフェラーリの事故動画を見ては傾向と対策を脳内で練って本番に挑みました。

傾向としては、電子制御を全カットするとめちゃくちゃにハッピーな挙動を示すことと
パワーのある車は3速だろうとアクセル全開はヤバイということ。
対策としては電子制御は切らない、アクセルは突如全開にしないこと。
そんな傾向と対策もむなしく、430チャレンジのオーナーさんは「これ、何にも電子制御ついてないから」「ABSもないから」とにこやかに言うわけです。

「ABSよりも、鍛えた人間の方が制動距離は短くできる」とか友人のN君が言っていたなあなんて思いながら
ロールバーを乗り越えてシートに収まります。
5点式ベルトを締めて、キルスイッチをRUNにして、イグニッションのトグルスイッチをONにして、
スターターボタンを押すと、レーシングエンジンに火が入り爆音が響きます。
レースカーってアイドリングが安定せず神経質な感じがするのかな、と思っていたのですが
コールド状態でも爆音のまま普通にアイドリングします。すごい。レーシングフェラーリってこんな普通にアイドリングしちゃうんだ。
パネル両引きでニュートラルにしてレーシングすると、サーキットでよく聞くレスポンスのそれです。レーシングカーそのままじゃん・・・と。

「では行きましょう!」と言われ、エンジンのスペックを何もしらないまま、ハンドルを切ってコースに出るのですが
ロックトゥロックが180度ぐらいしかなくて全然曲がれないんですよ。バックの方法聞いておいてよかった。
F1マチックの繋がりもPDK並みとは言いませんけど、半クラッチの時間も短くスパッとつながります。
ゆっくり走ったり、あえて早めにシフトアップしてエンジンに負荷かけていやらしいことをしても
ぐずることなく走りますし、なによりも車が軽いことと4LオーバーなV8のトルクでグイッと前に進んでいきます。
これ本当にレーシングカーなの?と思うフレキシビリティを見せつけられながら前方がグリーンになったところで
少しずつ踏み込み速度をあげていきます。

YouTubeで散々見てきた事故動画を脳裏に思い浮かべつつ
頼む、シビアな挙動を示さないでくれ・・・と思いながら徐々にアクセル開度を多めにしていきます。
すると、思いのほかスムーズにトラクションが乗り、気づけば8300rpmぐらいでレブに。
軽くレブにあてながら右のパドルを弾くと、点火カットの時間少し長めにシフトアップします。
色々試すと、少しアクセルを抜いてシフトアップしてやればスパッと変速するので保護回路がきちんと働いているんだなとわかります。
フェラーリ、めっちゃ賢い。

ギア比はクロスで、目視した感じ3速で140kmhぐらい4速で180ぐらい、5速で210ぐらい。
これ本当にあってるのかな。チキってレブまで踏めてない疑惑も。
でもこのショートなギア比のおかげで、無限に加速していく感じがめっちゃくちゃ気持ちいいです。
体感の馬力は450psぐらい。回転が上がるにつれてパワーが盛り上がる感覚はたまらないものがありますね。
NAなのでYouTubeで見る踏んだ瞬間にターボが立ち上がって最大トルクで明後日の方へ走っていく感じはなくて安心して踏んで行けます。
さらに、150を超えたあたりからダウンフォースが効いてるのを如実に感じることができて
低速だと軽すぎるパワステも、速度を上げるにつれてステアリングインフォメーションが濃厚になり
がっつりアクセルを踏みながらライン変更もできる安心感もでてきます。

足回りも比較的固めとはいえバネは柔らかく、少し乗りなれると
アクセルをパカッとあけてもリアが暴れる感じもなくイケイケで踏んでいける仕様だなと判断できます。
というか、そうじゃないとレースでアクセルあけていけないよね。
ただ、バンピーなところでは踏んだ瞬間にエンジンの回転数がフォン!と跳ね上がるのですが、
トラクションが抜けた後、戻ったときに若干横方向に荷重がかかっていてもそっちに飛んでいくような危なげな感じがないので足回りすごい優秀なんだなあ・・・とわかります。
この辺りは市販車と比べるのもナンセンスですが、911カレラあたりは懐が深いなと思います。誰が乗っても怖くない踏んで行ける感覚。
その点430チャレンジは車ってこういうふうに動くよねというのが判らないと怖くてガンガン踏んでいけない雰囲気。

ブレーキはABSついてないし、踏み込むのは怖かったので速度調節ぐらいでしか使わず・・・。
シフトダウンだけでがっつりエンジンブレーキが利くのでブレーキは本当に軽く踏むだけ。
デュアルクラッチのクルマみたいにぬるっとつながらず、変速ショックないのにガツンとつながる感覚で癖になります。
ブレーキのタッチは非常にソリッド。ふにゃっとした感覚がなくて、4Cのようなノーサーボっぽい味。
情報が何もなくて、ググっても全然出てこないのでサーボがついてるのかどうかも不明。踏んで分かれよって言われても
経験がなさすぎて。

少しペースを落として走ると、室内に響くエンジン音と排気音は相当なもので
100ちょっとで巡行すると頭が痛くなるレベルのこもり音なのですが
ギア下げて回転数を高くしてやると快音とともに解消されます。めちゃくちゃうるさいのに変わりはないけれども。

そんなことを思いながら30分ほどのテストドライブを終えて、ピットに戻り
イグニッションのトグルスイッチをオフにして、ラインロックをして、キルスイッチをONにして
「無事に何事もなく終わった・・・」と一息ついて感動のテストドライブが終了しました。



乗る前は「どんなシビアな動きをするんだろう、電子制御の塊でいきってる僕でも運転できるのだろうか・・・」と思っていたのですが、
いざ乗り出してみれば古典的な車で、シャシーの基本性能の良さがわかるいい車でした。
991GT3は速いけれど、997カレラ4Sの方が自分のリズムに合うのと同じで
458イタリアよりも430チャレンジの方が安心して踏んで行ける感じです。
電子制御で誤魔化しがない分、車との対話がしやすいので自分と車の感覚をすり合わせていく楽しさがありました。

よくよく考えてみればレースカーは極限の状態で何時間も走るわけで
車がドライバーに対して不安要素を与えることはあってはならないことですし
レースカーっていうのは意外とドライバーに優しい車なのだなと実際に体感できたとてもいい機会でした。



いや、マジでよかったよ。
フェラーリがこんなに乗りやすいとは思いもしなかった。
本当に良かった。
あとはうるさく無ければいいね。
乗るのに気合がいる車は初めてだった。
また乗りたいか?と言われれば、何かあったときに免責ならぜひ!!って答えるぐらいにはお気に入りです。
人生で一番の衝撃だったなあ・・・。
by btbs986 | 2022-03-27 21:38 | クルマ | Comments(0)

文章は苦手です。


by btbs986